大阪大学大学院基礎工学研究科の岡本慎也氏(当時博士後期課程学生)と芦田昌明教授らは、同大学ナノサイエンスデザイン教育研究センターおよび大阪府立大学と共同で、超流動ヘリウム※1という特殊な液体を使い、図1のような直径数ミクロン※2の真球※3形状をした単結晶※4を作製することに成功しました。単結晶はその原子配列を反映した形状、例えば直方体や六角柱などの形をとるのが普通で、光学顕微鏡で見ることのできるミクロンサイズで真球の形状をした単結晶を作ることができるのは大きな驚きで、世界で初めての成果です。

きれいな原子配列がもたらす高い性能と最も対称性の高い形状である球が示す特長を兼ね備えた真球単結晶には、従来材料を超える新たな機能が期待されます。例えば、ミクロンサイズの微小球は光を内部に閉じ込める性能が高く、非常に性能の高い光共振器※6や効率の良い超小型レーザーを実現できます。また、光科学に留まらず多方面への応用も考えられます。