大阪大学大学院基礎工学研究科システム創成専攻電子光科学領域の白石誠司教授、豊川修平(博士前期課程1回生)、同研究科物質創成専攻物性物理工学領域の阪井裕孝(2010年度博士前期課程修了生)、田村英一特任教授、鈴木義茂教授、及びヨーク大学(英国)の廣畑貴文博士らは、フラーレン中のコバルトナノ粒子群の新しい物性を発見しました。

コバルトは磁石となる金属(磁性体)であるために外部から電場を加えることによる物性の変化が少ないと考えられてきました。研究グループではコバルトをナノ粒子状にしてフラーレン間に埋め込むことで、従来困難とされてきた電場によるコバルトの磁化制御と磁場によるコバルトナノ粒子の電荷状態制御が同時に実現できること、その効果により新しい磁気スイッチング効果が現れることを見出しました。このような効果は「電気磁気効果※1」と呼ばれ酸化物などでは知られていましたが磁性体でこのような効果が発見されたのは世界で初めてのことであり、ナノ磁性体を用いたナノスピントロニクスという研究分野の更なる発展が期待されます。

本研究は文部科学省グローバルCOEプログラム(物質の量子機能解明と未来型機能材料創出)、旭硝子財団研究助成などの助成により行われました。

本研究成果は2012年6月1日発行の独国科学雑誌「Advanced Functional Materials」のオンライン速報版にて公開されます。